after all, in the long run, finally, at last, in the end, eventually - 1

(1) after all
(a) 「予想に反して」「結果的には」「案外」:起こらないと思われていた(言われていた)ことが起こったり、そうでないことが事実であったりする事態を指す。通例文末に置かれる
I expected to fail the exam, but I passed after all.(試験に落ちると思っていたけど、何とか受かったよ)

(b) 「なにしろ」「だって」:重要な点を想起させたり、話し手の主張の根拠を述べる前置きとして用いられる。文末のほか文頭にも置かれる。
Why shouldn't Betsy eat the cake? After all, she baked it.(ベッツィがケーキを食べてもいいじゃないか。自分が焼いたんだから)
After all, at seventeen we were still kids.(17歳といっても、所詮(つまりは)子供だったわけだ)

「いろいろ言った(やった)後で」という意味が鮮明になる場合もある。
But that, after all, was their fate.(でも結局、それが彼らの運命だった)
Father, the weather report was right after all.(パパ、天気予報はやっぱり当たったよ)


(2)in the long run
「長い目で見れば」という意味で、事態が正常に推移するとして遠い将来に起こるであろうことに言及する。対比表現はin the short run。長期的・全体的な視野に立っての予測であり、未来時制とも共起する。
Even if they have a few successes, it’s worse in the long run.(少しは良くなっても、総じてみればさらに悪くなる)
We’ll have to pass sentence. In the long run it’s for his own good.(しかたない、処刑しよう。それが結局あいつの身のためでもあるんだ)

〜金融・経済翻訳 (2)〜

前回、金融翻訳の動向について書きましたが、今回は学習法について少し書いてみたいと思います。

幸い、金融翻訳では無料で公開されている資料が数多く存在します。プレスリリース、有価証券報告書株主総会招集通知などは、大企業の場合、英訳が公開されています。必ずしも専門性が高いものばかりではありませんが、それでもターゲットとなるドキュメントに数多く触れていないと、どのように表現したらよいか、見当が付かないはずです。当然のことながら、まずは和文でのインプット量を増やすことが必要だと思います。
会計・財務の学習は継続的に行いましょう。また、定款や会社法関係の内容についてもひと通り押さえておく必要があるでしょう(その世界で「常識」と考えられている部分で誤訳に陥らないように)。

慣れてきたら、和文と英文を照らし合わせて、「英訳」を念頭に置いた上での学習を進めるべきでしょう。実務翻訳者は、すべてのタイプの日本語を訳す必要はありません。ターゲットとなるドキュメントの性質に合致した英文に仕上げればよいわけです。世の中には勉強材料が無限に転がっているわけですから、これを活かさない手はありません。フリーでやっていく場合、単価と需要を考えると、財務分野の英訳は捨てきれないのも事実です。

参考になりそうな書籍やURLについては、今後もフォローしていきたいと考えています。

〜金融・経済翻訳 (1) 〜

フリーランス翻訳時代を経て、講師・チェッカーを兼任するに至るまで、私自身さまざまな方法や経路で金融・経済翻訳に触れてきましたが、翻訳需要に沿った学習を常に追求しない限り、安定的な収入を確保することはできません。特に、現場サイドと翻訳(学習)者の間には情報の非対称性が大きいと感じています。そこでこの記事では、金融・経済翻訳の需要動向と、現場で求められる翻訳者像を考えてみたいと思います。

★金融翻訳の二本の柱
金融系の翻訳は、主に「金融・証券」と「財務・会計」に大別されます。需要・ボリュームの大きいドキュメントとしては、アニュアルレポートの翻訳(財務・会計)、目論見書・運用報告書や市場レポート(金融・証券)が挙げられます。実務翻訳者の主戦場となる分野と言ってもよいでしょう。
もちろん法務寄りの金融翻訳や一般的なビジネス翻訳も存在しますが、財務・会計、金融・証券の二本柱に対応できる翻訳者は不足しています。

★経験と知識がモノを言う
銀行、証券会社、投資ファンドなどで勤務経験のある人、特に現場で投資・財務関連の英文を分析したり、MBA証券アナリスト公認会計士などの資格を取得(あるいは勉強)したことがある人にとっては、当然ながら有利な分野となります(派遣会社や翻訳会社といったエージェントが募集する場合、翻訳の実務経験に加え、業界での実務経験を必須とする案件もあります)。

★実務未経験者は翻訳者になれないのか
実際に活躍している翻訳者を見てみると、US CPAを取得→監査法人などで勤務経験がある人、銀行の資金運用部で勤務経験がある人などが多いのは事実です。
しかし、英文解釈や表現力に問題のある翻訳者も多く、現場で合格ラインに達する(Bランクの)翻訳者が少ないのが実情です。また、実務経験の有無にかかわらず、翻訳は「ものづくり」と同じであり、「成果物」のみで判断されます。実務経験ゼロでも案件を継続的に受注したり、チェック業務に携わっている翻訳者も少なからず存在します。

次回は、どのような学習方法が効果的なのかについて、自分自身の経験と共にお話したいと思います。

(続く)

「思う」「考える」のボキャブラリー 9 ― conceive

本日はconceiveの用法を見ていきます。
代表的には、conceive (of) A/〜ing, conceive (of) A as B, conceive that〜などの形で使われます。
コロケーションが豊富なので、用例を理解して使いこなせるようにしましょう。


1. If you cannot conceive of something, you cannot imagine it or believe it. 

  • I just can't even conceive of that quantity of money. (その金額がどれほどのものなのか想像すらできない)

★「想像する」から「理解する」という意味にもなります。主に否定文で使われます。To apprehend mentally; understand: couldn't conceive the meaning of that sentence.(American Heritage)


2. If you conceive something as a particular thing, you consider it to be that thing. 

  • Elvis conceived of himself as a ballad singer.(エルヴィスは自分がバラード歌手だと思っていた)

★that節や疑問詞節が続く場合もあります。

  • To be of the opinion that; think: didn't conceive such a tragedy could occur.(American Heritage)
  • I can hardly conceive what it must be like here in winter.(Longman)


3. If you conceive a plan or idea, you think of it and work out how it can be done. 

  • He conceived of the first truly portable computer in 1968.(彼は196

8年に初めてポータブルコンピュータと呼べるものを考案した)
★To form or develop in the mind; devise (American Heritage)

「心に抱く」というニュアンスの用例もあります。experience or form (a feeling): conceive a great love for music (音楽が大好きである―Random House)

翻訳者とエディター

翻訳者よりもエディターの方が楽だと言われることがある。翻訳者は、調査→翻訳→推敲のプロセスを1人でこなさなければならない。重大な誤訳があればクレームになり、最悪の場合、二度と声がかからなくなる。

個人で契約できるようなレベルの優秀な翻訳者が多ければ、エディットという作業自体不要である。だが、案件を受けたエージェント(翻訳会社)がフリーの翻訳者に安値で外注し、それをフリーまたは社内のエディターがチェックするという図式が崩れない限り(おそらく崩れないが)、エディターの仕事が楽になることはない。

標準的な作業量が1日2000w(原文)だとした場合、エディターはその3〜4倍の訳文をチェックしなければならない。だが、高品質を保ちながらその時間を1/3〜1/4に短縮することは不可能に近い。

エディター(校正を兼ねる場合もある)は一切の主観を排して第三者的に訳文を見るのが仕事である。翻訳者から上がってくる訳文の中には、そのままでは外に出せないものがあまりにも多すぎる。そのような訳文が付加価値の高い翻訳と呼べるのかについては、ここでは触れないが、興味がある人は辻谷真一郎氏の「翻訳の原点」を読まれるとよい。

誤訳も多い。その大半はケアレスミスによるものだ。三単元のsが抜けている、文法的に誤りがあるなどは茶飯事であり、数字を間違える、売上高の金額がひと桁違う、ひどいときには通貨単位さえ間違える。どれも単純なものだが、信用問題に関わるものだ。フリーの翻訳者を目指すのであれば、三行半を突きつけられないよう、細心の注意を払うべきである。翻訳料だけで贅沢な生活ができるような時代ではないのだから。

「思う」「考える」のボキャブラリー 8 ― presume (2)

本日はpresumeの別の用例を見ていきます。

2. If you say that someone presumes to do something, you mean that they do it even though they have no right to do it.

  • They're resentful that outsiders presume to meddle in their affairs.

(彼らは部外者が干渉していることに憤慨している)

  • I wouldn't presume to question your judgement.

(あなたの判断に疑義を差し挟むつもりはありません)

OALDでは"behave in a way that shows a lack of respect by doing something that you have no right to do"とあり、敬意を払わない行動に出るというニュアンスが示されています。


3. If an idea, theory, or plan presumes certain facts, it regards them as true so that they can be used as a basis for further ideas and theories.

★「〜を想定する」(assume)「〜を前提とする」(presuppose)という意味のpresumeです。OALDでは、to accept something as true or existing and to act on that basisと定義されています。

  • The course seems to presume some previous knowledge of the subject.

(講義では、その科目に関する若干の事前知識が前提となりそうだ)

★「…を証明する十分な証拠となる」というニュアンスのpresumeもあります。

  • A receipt for the premium on a policy presumes preceding payments. (証券面上の保険料領収証があれば、それ以前の保険料は支払い済みと見なされる―ランダムハウス英和)

「思う」「考える」のボキャブラリー 8 ― presume

1. If you presume that something is the case, you think that it is the case, although you are not certain.

  • I presume you're here on business. (ここには出張でいらっしゃったのでしょう)
  • ...areas that have been presumed to be safe...(安全と考えられてきた場所)

★It is presumed that〜, I presume so.などの言い方も可能です。
OALDでは、"to accept that something is true until it is shown not to be true, especially in court" という定義の下、以下の例文が掲載されています。
・In English law, a person is presumed innocent until proved guilty.
・We must presume innocence until we have proof of guilt.
・We must presume them to be innocent until we have proof of guilt.
推定無罪、反証がない限り真実と推定する)
★「証拠なしに真実だと思い込む」ニュアンスのassumeとは異なり、presumeは「通例確からしい証拠があるため真実だと考える」「今までの経過などから推測する」といったニュアンスになります。

次回もpresumeを扱います。